COLUMN
あいちの離島
コラム
投稿日:2026.03.27 更新日:2026.03.30
ワーケーションで人を呼び込むために。「選ばれる場所」の特徴とは(ワーケーションコラム全8回・第8回)
ワーケーション

地域に人を呼びたい。関わり続けてくれる人を増やしたい。そう考えたとき、ワーケーションの受け入れに力を入れている地域は少なくありません。
でも、「うちの地域でもワーケーションを推進したい」と思っても、何を整えればいいかわからないという相談をよくうけます。
ワーケーションをする人が「行きたい」と思う場所には、共通した特徴があります。
今回は年間の半分以上をワーケーションで過ごす筆者の視点から、選ばれる場所の条件を整理してお伝えします。
ヒントは「ノマドワーカーが集まる街」にある
世界には、特定のオフィスを持たず、場所を選ばずに働く「デジタルノマド」や「ノマドワーカー」と呼ばれる人たちがいます。
彼らは仕事をしながら世界中を移動するため、働きやすい環境を徹底的に見極めます。そして、条件が整っている街に自然と集まります。
この「ノマドワーカーが集まる街」の特徴を知ることが、ワーケーションの受け入れ環境を整えるうえでの参考になります。
観光地として有名かどうかよりも、「働きながら滞在できるか」という視点が重要なのです。

ノマドワーカーの聖地と言われるジョージア
選ばれる場所の特徴
1. 作業できる場所が充実している
ワーケーションをする人にとって、仕事ができる環境はなによりも優先される条件です。コワーキングスペース、長時間いられるカフェ、ホテルのワークスペースといった、働く場所の選択肢が複数あることが理想です。
「景色はいいけど、仕事できる場所がなかった」という理由でリピートされない地域は少なくありません。まず一つでも、長時間作業できる場所を整えることが第一歩になります。
2. Wi-Fi環境が安定している
当たり前のように思えますが、これが最大のハードルになる地域も多いです。
オンライン会議が途切れる、動画のアップロードができないといった経験をした人は、二度とその場所でワーケーションをしようとは思いません。
宿だけでなく、カフェや共有スペースでも安定したWi-Fiが使えることが、リピートにつながる大前提です。
3. 中長期滞在しやすい宿泊環境がある
1週間以上滞在することを前提にしたとき、毎晩同じ宿泊費がかかる観光向けの宿は負担になります。
ウィークリーやマンスリーの割引プラン、キッチン付きの部屋、洗濯できる環境といった、「暮らすための設備」があるかどうかが、長期滞在の決め手になります。
地域の宿泊施設がワーケーション向けのプランを用意するだけで、滞在者数が変わることもあります。
4. 地域の人と関われる場がある
ワーケーションをする人が求めているのは、仕事環境だけではありません。地域の人と自然に交流できる交流施設、コミュニティスペース、地元のイベントなどがあることで、「また来たい場所」になります。
観光案内所ではなく、地元の人が集まる居酒屋や朝市のような場所が、実はワーケーションをする人にとって一番の魅力になることもあります。
5. 情報が事前に手に入る
「行ってみたら思っていた環境と違った」という失敗を避けるために、ワーケーションをする人は事前に情報を集めます。
Wi-Fiの速度、作業できる場所の有無、長期滞在向けの宿とこれまでにもお伝えしたような、そんな情報が地域のWebサイトやSNSで発信されているかどうかも、選ばれるかどうかに直結します。
どれだけ環境が整っていても、伝わっていなければ来てもらえません。
国内で参考になる街
国内でワーケーションの受け入れが進んでいる地域として、福岡市や金沢市がよく挙げられます。コワーキングスペースの充実、交通アクセスの良さ、地域コミュニティとの連携。
こうした条件がバランスよく整っていることが共通点です。
規模の大小に関わらず、「働きながら滞在できる環境」を意識して整えている地域は、じわじわとワーケーション実践者に選ばれるようになっています。
「来てもらう」より「また来たいと思われる」場所に
ワーケーションの受け入れで大切なのは、一度来てもらうことよりも、リピートしてもらえる場所になることです。
リピートが生まれると、関係人口が増え、口コミで次の人が来て、地域のファンが少しずつ広がっていきます。そのサイクルをつくるために、まず「働ける環境」を整えることが出発点になります。
完璧に整える必要はありません。「Wi-Fiが安定している宿が一軒ある」「長時間いられるカフェが一軒ある」。
その一歩が、ワーケーション実践者たちに選ばれる地域としての入り口になります。

ジョージアにてワーケーションを行う筆者
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執筆者:岡村龍弥(オカムラタツヤ)
プロフィール:合同会社Guild 代表、シャンディのニックネームで親しまれる。「自分らしく生きる人を増やしたい」という想いのもと、どこでも働けるノマドワーカー育成を中心に、旅と教育を軸に活動中。チェコ親善アンバサダーをはじめ、さまざまなアンバサダー活動にも取り組む。
