COLUMN
あいちの離島
コラム
投稿日:2026.03.23 更新日:2026.03.25
大学生におすすめ!スタディケーションって知ってますか?(ワーケーションコラム全8回・第2回)
ワーケーション

年間の半分を国内外問わず好きな場所で働く筆者が、今回は大学生向けの「ワーケーション」についてご紹介します。
「ワーケーション」と聞くと、社会人の特権だと思ってる方も多いのではないでしょうか。 実は大学生にも、休暇を活用して学びと旅を組み合わせる新しい形が広がっています。それが「スタディケーション」です。

スタディケーションとは、Study(勉強)× Vacation(休暇)を組み合わせた造語で、学生が休暇中に地域で興味のある分野を学ぶ取り組みを指します。たとえば観光地でのフィールドワークや、地元企業でのインターンシップ、地域課題解決プロジェクトなどがその一例です。
大学生がスタディケーションに参加するメリット
学生向けのワーケーションであるスタディケーションを実施するメリットは、少し学生インターンと同じ部分があるかもしれませんが、大きくわけて3つあると考えます。
・学校の授業では味わえない実戦経験の場として

スタディケーションでは、授業では味わえない現場での体験が可能です。地域イベントの運営や参加、地元企業との企画づくりなど、実践的な活動を通じてスキルを磨けます。
こうした経験は就職活動の際の「学生時代に力を入れたこと」、いわゆるガクチカとして具体的に語れる強みになります。
単なるアルバイトやボランティアとは異なり、地域課題や実際の社会の現場に学生のうちから深く関わることで、社会人としての働くイメージをつけることもできるのではないでしょうか。
・人との出会いからくる価値観の広がり

大学の授業やサークル活動だけでは、どうしても関わる人が限られがちです。多くの学生にとって、出会う大人といえばアルバイト先の店長や社員さんくらいではないでしょうか。
スタディケーションでは、そんな日常の枠を超え、年齢も職業も異なる人たちと出会うことができます。地域で働く大人たちや、現地で活動する人々との関わりを通じて、リアルな社会の姿に触れることができるのです。
現地でのプロジェクトやイベントを共に進める中で、相手の価値観や人生観に触れ、自分の「当たり前」が少しずつ揺さぶられる瞬間があるはずです。
そうした出会いが、将来の進路選択や「自分は何を大切に生きていきたいか」という問いへのヒントになることも少なくありません。
閉じた環境にいると感じている学生ほど、ぜひ一歩外に出て、スタディケーションを通じて新しい人と出会い、世界の見え方を広げてほしいと思います。
・自分の好きを知るきっかけとして

スタディケーションのもう一つの大きな魅力は、自分を知るきっかけになること。
現地での活動は、決められた課題をこなすのではなく、自ら考えて行動し、試行錯誤を重ねることが求められるものも多くあります。
その過程で、「自分は人と話すのが好きだ」「企画を考えるのが得意だ」「リーダーよりもサポート役のほうが向いているかもしれない」といった、学校の中だけでは気づけなかった自分の特性に出会うことがあります。
こうした体験は、机上での自己分析では見えてこないリアルな自己理解につながるため、スタディケーションを通して、自分の「好き」や「得意」を再発見し、それを将来の進路や働き方に生かせるのです。
あいちの離島でのスタディケーション事例紹介
・閑散期の有効活用、離島でのトレイルラン開催

人間環境大学の学生たちは、愛知県の離島・佐久島でスタディケーションを実施。
1年目は島内でヒアリングを行い、アートの島として知られる一方で、冬季の観光客が大きく減少していることや、知名度の課題を把握した結果、地域の活性化と認知度向上を目的に「トレイルラン」を企画・提案しました。
2年目には、佐久島のある西尾市と連携して、「佐久島トレイルラン2025 +エコ」を実際に開催。誰でも楽しめるよう、6.5kmを3周する本格コースと、1周のみの初心者向けコースの2種類を設定しました。
「+エコ」の名の通り、給水ポイントでは紙コップを使わず、マイボトルやマイカップの持参を呼びかけるということや、離島ならではの特色として、ランナーのエネルギー補給所であるエイドステーションでは、島の特産である大きな牡蠣フライを提供。
学生と島民が協力しながら、地域に根ざしたイベントとして成功を収めました。
(参考) 佐久島にて人間環境大学の学生が1泊2日のスタディケーションを実施しました!
・観光もごみ拾いも一緒に、プロギングで島の課題を解決

中京大学の学生たちは、愛知県の離島・日間賀島で「プロギング(ごみ拾い×ジョギング)」を実施。観光を楽しみながら島をきれいにすることを目的に、地域の方々と協力して活動に取り組みました。
1泊2日のプログラムでは、初日に島の観光協会の方々と一緒に島内を歩き、コースの確認やごみの多い場所を調査。翌日には実際にプロギングを行い、走りながらごみを拾い集めました。
これまでも観光協会やボランティアによるビーチクリーンは定期的に行われていましたが、海岸以外の場所にもごみが多く、結果的に軽トラック1台分ものごみを回収。
同行した観光協会の方々も、その量に驚きながらも学生たちの活動に感謝していました。
普段から島で暮らしていると、日常の風景に慣れてしまい、見過ごしていることも少なくありません。外から訪れる学生たちの視点が、改めて島の課題に気づくきっかけになった取り組みでした。
・英語で魅力を発信、学生が作る日間賀島観光マップ

桜花学園大学の英語学科の学生たちは、令和5年度に愛知県・日間賀島の魅力を英語で紹介する観光マップ「Our Favorite Place」を制作。
カラフルなデザインで12の観光スポットを紹介し、半日で巡るモデルコースを提案。地元の観光協会と協力しながら取材を重ね、実際に島を歩いて翻訳や表現を考えました。
人気の撮影スポット「白い監視台」は“White Watchtower”、島に1つだけある教育用の信号機は“Single Signal”と名付けるなど、学生たちの柔軟な発想の翻訳も工夫している見どころの1つです。
完成したマップを受け取った地元関係者からは「島をよく知り、好きになってくれたのが伝わる」と喜びの声が上がりました。学生たちにとっても、英語を通じて地域とつながり、実践的に学ぶ貴重な体験となりました。
出典:教育総合サイト中日進学ナビ、2024.04.02、Himaka Iskand 学生発信 誘客に一役 桜花学園大学、英語で観光マップ
課題と今後の展望

スタディケーションは、学びと旅を組み合わせた新しい形の教育として大きな可能性を持っていますが、現状ではまだ認知度が十分とは言えず、受け入れ地域の数も限られています。
学生が気軽に「週末に少し学びながら旅をする」といった体験ができる場所は、全国的に見てもまだ多くありません。
現在の多くは、大学のサークルやゼミ単位での参加が中心で、事前調整や受け入れ体制の確保に時間がかかるのが実情です。こうしたハードルを下げ、学生がもっと自由に地域と関われるような仕組みづくりが今後の課題だと感じています。
また筆者が理想とするスタディケーションは、「一度きりの体験」で終わるものではありません。訪れた地域と継続的につながり、次に訪れるときには前回の学びを生かしたり、新しい挑戦をしたりできるような循環的な仕組みが必要です。
学びが一過性の思い出で終わらず、学生と地域の双方にとって前向きな成長へとつながるような形を目指していきたいものです。
学びながら旅をするという、新しい選択肢を

スタディケーションは、学校の中だけでは得られない経験や出会いを通して、自分の興味や将来を考えるきっかけを与えてくれる新しい学びの形です。
短期の体験であっても、現地の人との関わりや、そこで得た気づきは長く心に残ります。
いまはまだ参加できる地域や機会が限られていますが、今後さらに広がっていけば、学生が自分のペースで「旅×学び」を実現できる日常がやってくるはずです。
興味のあるテーマや地域があれば、まずは一度足を運んでみてください。旅先での学びが、これからの生き方やキャリアを考えるヒントになるかもしれません。
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執筆者:岡村龍弥(オカムラタツヤ)
プロフィール:合同会社Guild 代表、シャンディのニックネームで親しまれる。「自分らしく生きる人を増やしたい」という想いのもと、どこでも働けるノマドワーカー育成を中心に、旅と教育を軸に活動中。チェコ親善アンバサダーをはじめ、さまざまなアンバサダー活動にも取り組む。
