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MIRAI

未来をつくる

投稿日:2026.03.27 更新日:2026.03.30

あいちの離島のキーパーソン紹介【全3回・第1回佐久島】

佐久島

自然と伝統を次世代へ、島と共に生きる ― 佐久島の漁師・筒井さんに聞く

筒井文章さんと奥様の写真

愛知県西尾市の三河湾のほぼ真ん中に位置する佐久島。
この島で、漁業を営みながら、島の伝統の継承や地域の活動をしているのが、筒井文章(つつい ふみあき)さんです。

現在は漁師として海に出る傍ら、「島を美しくつくる会」の副会長、そして地元の小中一貫校で伝統文化である「佐久島太鼓」を教える講師としての顔も持っています。

今回は、島で過ごした子ども時代から漁師になった理由、そして佐久島での活動と島への想いを伺いました。

佐久島の夕陽の様子

佐久島で過ごした子ども時代

――ご出身は佐久島とのことですが、どんな子ども時代を過ごされましたか?

<筒井さん>
実家が漁師だったので、夏休みになると親の船について回っていました。
当時は、網を引き上げるのを手伝ったり、魚が獲れるのを見たりするのがとにかく楽しかった記憶がありますね。

――その頃から、将来は漁師になろうと決めていたのですか?

<筒井さん>
そうですね、自然と「自分もいつかやるんだろうな」という感覚はありました。
高校は島を出て、蒲郡の水産高校へ進みました。
そこで船舶免許を取れたことは、今の仕事に役立っています。

佐久島西港の様子

漁師としての自立と自己責任の重み

――卒業後、すぐに島に戻って漁師の道を歩み始めたのですね。

<筒井さん>
はい、18歳で戻ってからはずっと島で漁をしています。
親についていくだけだった子どもの頃と違い、自分で船を出すようになると、どこで網を張るか、どう動くか、すべてが自分の判断になります。

――漁師として海に出るようになり、感じた違いはありますか?

<筒井さん>
結果がすべて自分に返ってくる面白さと厳しさですね。
海は広いですが、島の中でも仲間との切磋琢磨があります。
長年の経験と勘が試される、まさに「自己責任」の世界です。

佐久島を訪れた大学生と島でダイアログする様子

次世代へ海をつなぐために

――漁の様子はいかがですか?

<筒井さん>
今日(3月18日)はナマコ漁をしていました。
また、これからの時期はアサリ漁が始まりますが、漁業組合では「小さいアサリは海に返す」と決めて、資源を守る取り組みも続けています。

――佐久島といえば、やはり「大あさり」が有名ですよね。

<筒井さん>
そうですね。
「大アサリ」は、よく普通のアサリが大きく育ったものと思われがちですが、実はウチムラサキという全く別の種類の貝なんです。
佐久島のゆるキャラ「あさりん」のモチーフにもなっている、島を代表する貝です。
ぜひ、「大あさり」を一度味わってほしいですね。

佐久島名物の大あさりを使用した大あさり丼

伝統文化を繋ぐ「佐久島太鼓」の講師として

――漁師以外の活動として、学校で太鼓を教えていらっしゃると伺いました。

<筒井さん>
佐久島には「佐久島太鼓」という、神社の祭礼で奉納される古い歴史を持った祭り囃子(まつりばやし)があります。
私自身、学校や島の先輩方に教わって育ちました。
今は少子化で叩き手が減っていますが、地元の「佐久島しおさい学校」で、講師として子どもたちに教えています。

――子どもたちの反応はいかがですか?

<筒井さん>
島内の子どもたちだけではなく、島外から船で通ってくる「しおかぜ通学」の子どもたちもおります。
島の子も外から来る子も、みんな一生懸命取り組んでいますよ。
パフォーマンスではなく、神様への奉納という「島の文化」を、次の世代に繋いでいきたいです。

「島を美しくつくる会」での活動

――「島を美しくつくる会」の副会長としても、多岐にわたる活動をされていますね。

<筒井さん>
島を美しくつくる会では、ボランティアの受け入れやアマモ(海草)の移植など、島がより良くなるための活動を幅広く行っています。

最近は、イベントで来てくれた人たちがボランティアでゴミを拾ってくれることも増えました。
おかげで昔に比べてゴミも減り、島も海も綺麗になったと感じます。

島の魅力とこれからの夢

――筒井さんにとって、佐久島の「美しさ」とは何でしょうか。

<筒井さん>
ありのままの自然がすぐそばにあることです。
少し山へ行けば珍しい花や昆虫に出会えるし、佐久島の海岸から弁天島を見る景色も素晴らしいです。
ゆったりとした時間の流れと、そうした豊かな自然が、この島の魅力だと思います。

――将来の夢や、これから挑戦したいことを教えてください。

<筒井さん>
佐久島は自然がとても身近です。
海だけではなく、すぐ隣に森があります。
そのような豊かな自然に興味を持って、まずは遊びに来てくれる人が増えてほしいです。
そして、ゆくゆくは佐久島に住んでくれる人が増えたら嬉しいですね。

最後に読者へのメッセージ

<筒井さん>
「離島」というと遠いイメージがあるかもしれませんが、実際に来てみると意外と近いのが佐久島です。
アートはもちろんですが、一歩踏み込んで、自然や生き物に触れてみてください。

まずは一度、佐久島の自然を感じに来てください。
お会いできるのを楽しみに待っています!

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執筆者:矢野 孝治(やの こうじ)/ ウェブスマ代表

プロフィール:企業・自治体・行政に向けて、Web・SNS・メディア・広告を統合したデジタルマーケティングを支援。また「現場で使える実践的なスキル」を伝える専門家とし