STUDYCATION
あいちの離島で
スタディケーション
投稿日:2026.03.24 更新日:2026.03.24
佐久島にて名城大学経済学部 佐土井ゼミの学生が1泊2日のスタディケーションを実施しました!
スタディケーション佐久島

2025年11月29日(土)から30日(日)、愛知県・佐久島にて、名城大学 経済学部・佐土井ゼミの学生が「スタディケーションモニターツアー」に参加しました。今回学生たちが挑戦したのは、佐久島でのウォーキングイベントの企画・運営。島の魅力を伝えながら、地域課題にも向き合う、そんな難易度の高い挑戦に、学生たちが臨みました。

【活動の経緯】
体験する側から、島と一緒に考え、動く側へ
佐土井ゼミと佐久島との関わりは2025年で3年目。これまでの1・2年間は、竹林伐採や炊事、竹あかり制作など、島を知るための「体験・学習」を中心に行ってきました。3年目となる今年は、そうした積み重ねを土台に、学生自身が企画・運営を担う“レベルアップ”のフェーズへ移行。
佐久島のゴミ問題に注目し、ゴミ拾いを連動させたウォーキングイベント「さくっと、謎解き佐久島さんぽ with名城大学」を企画することになりました。また、単なるゴミ拾いではなく、島内に点在するアート作品や観光名所を巡るクイズラリー形式を採用。島を歩く中で、ゴミ拾いをしながら自然と佐久島の魅力や課題に触れられる、工夫された構成です。
【1日目】
学生主体で挑んだ「さくっと、謎解き佐久島さんぽ with名城大学」


イベント当日。学生たちは朝から佐久島に入り、それぞれの持ち場につきます。




クイズポイントはあえて「有人化」を採用。「ヒントください!」「次はどっちですか?」 そんな声が飛び交い、学生と参加者の間では自然な会話が生まれます。



参加者からは「楽しかった」「ただ歩くだけじゃなくて、島のことを知れた」といった声も聞かれ、学生たちは確かな手応えを感じます。また、この日集まったゴミは大きな袋約12袋分。実に120kg相当のゴミを回収し、島の美化に直接貢献しました。





【2日目】
振り返りから見えた、学生たちのリアルな成長

2日目は、1日目のイベントを踏まえた振り返りと佐久島を盛り上げるためのアイデア出しを実施しました。まずはよかった点、課題点、次回に向けた改善点を振り返ります。
<よかったこと>
今回のゴミ拾いウォーキングイベントでは、企画・運営の面で多くの前向きな成果が見られました。
- 学生自身も参加者と一緒にゴミ拾いを行い、主体的にイベントに関われていた
- クイズ形式を取り入れたことで、楽しみながら参加できるイベントになった
- 有人化したクイズポイントで、参加者と自然なコミュニケーションが取れた
- 学生が声かけやヒント出しを行い、場の雰囲気を明るく盛り上げていた
- ゴミが思っていた以上に集まり、どこにゴミが多いのか把握することができた
- ゴミ拾いを通じて佐久島の魅力を知ってもらう機会になった
- イベントを知らなかった人にもアピールすることができた
- 「ゴールを目指す」という目的があり、参加者を最後まで楽しませることができた
- 事前に考えた企画内容を実際に活かし、学生が努力する姿勢が見られた
- 大きな事故やトラブルがなく、無事にイベントを終えられた
- 学生同士が協力し、主体的に動こうとする姿が多く見られた
2日間で多くの現場を訪れ、関係者の思いや努力に触れた学生たち。一つ一つの意見にはそれぞれの学びがしっかりと刻まれていました。
<課題>
一方で、当日の運営や準備段階において、改善すべき点も多く挙がりました。
- ゴミ袋が不足した際、すぐに補充できなかった
- スタッフ同士で固まって話してしまい、参加者への目配りが不足した
- 分岐点などで、どの道を進めばよいかわかりにくい場所があった
- 特にクイズ1から2までの距離が長く、移動が負担になった
- 学生同士の連携が十分に取れず、情報が行き渡っていなかった
- 業務量の分担に偏りがあり、負担が集中した学生がいた
- 時間を優先するあまり、参加者を焦らせてしまった場面があった
- 参加者ごとに滞在時間が異なり、全体の進行管理が難しかった
- イベントの目的が、学生・参加者ともに十分に共有できていなかった
- 準備やシミュレーションが不足しており、当日まで詰め詰めで対応してしまった
- 情報共有が代表者中心になり、全体に行き渡りづらかった
- イベント後半になるにつれて中だるみが生じ、緊張感が薄れてしまった
- 最後尾の参加者が誰かわからず、流れを把握しづらかった
<次回に向けた提案>
これらの振り返りを踏まえ、次回に向けて具体的な改善案も挙げられました。
- 事前準備と予行練習を十分に行い、全員が当日の流れを把握できるようにする
- 位置情報アプリを活用し、参加者やスタッフの位置を把握できるようにする
- トランシーバーを使って、学生同士がリアルタイムで連携できる体制を整える
- 旗を持って歩くなど、進行方向や先導役がわかりやすい工夫をする
- 途中で音楽を流すなど、移動時間も楽しめる仕掛けを取り入れる
- 「写るんです」などの使い切りカメラやデジカメを配り、特に若い参加者が楽しめる要素を増やす
各テーマごとに別れてさらなる追求
次に「企画全般」「広報・集客」「準備」「当日の運営」という4つのテーマに別れ、さらに追求していきます。


①企画全般(企画・運営)
<よかったこと>
- 多くのアイデアが出され、議論自体は活発だった
- 「みんなでゴミ拾いをしよう」という共通の方向性は共有できていた
- 単なるゴミ拾いではなく、ゲーム要素と掛け合わせた「楽しみながら参加できるイベント」を企画できたのがよかった
- 企画途中で一度方向性がずれたときがあったが、再び“みんながやりたい方向”に戻すことができた
<課題>
- アイデアを出して終わりになってしまい、具体化の段階はみんな人任せになっていた
- 「誰が何をやるのか」が曖昧で、個々の責任が見えにくかった
- 忙しい中での参加が「やらされ感」につながり、負担に感じる学生もいた
- 主要メンバーだけで話が進み、全体を巻き込めていなかった
<原因の追求>
- 企画の共通ゴール(誰のために、何を達成したいのか)が明確でなかった
- 参加者を楽しませることなのか
- 佐久島を知ってもらうことなのか
- これまで「用意された企画」に参加してきた経験から、今回の学生主体で進める意識が十分に腑に落ちていなかった
- 企画において島側をもっと巻き込まないとモチベーションが下がってしまう可能性がある
- Zoomなどの打ち合わせに代表者しか参加せず、情報と役割が集中した
<次回に向けた提案>
- 企画段階で明確なゴールを設定し、全員で共有する
- チーム分けを行い、1人ひとりに具体的な役割を持たせる
- Zoomは全員が接続し、情報格差をなくす
- 「どうせ行くなら楽しもう」という前向きな意欲づけをする
- 終わった後の楽しみを作る
- 人との関わりなど、モチベーションにつながる要素を意識する
②広報・集客
<よかったこと>
- ポスター、LINE、Instagram、ホームページなど複数の手段で発信できた
- 特に西尾市の公式SNS(LINE/Instagram)経由で参加者を募ることができた
<課題>
- 何人集めたいのかという目標人数が設定されていなかった
- 学祭など、既存の機会を十分に活用できなかった
- 発信内容がやや曖昧で、ターゲットが明確でなかった
<次回に向けた提案>
- LINE登録者数を増やす施策を考える
- 登録特典(PayPayポイントなど)の検討
- ターゲットを分析し、誰に向けて何を伝えるかを明確にした発信を行う
- イベント単体だけでなく、「佐久島そのものの魅力」をどうPRするかまで考える
- イベント後の写真や振り返りを発信し、次につなげる
- 小学校のおたよりなど、地域に根ざした広報も検討する
③準備
<よかったこと>
- 一定の役割分担はできていた
- 曲がり角に矢印マークを設置するなど、現場を意識した工夫があった
- チャットやZoomを活用し、情報共有しようとする姿勢は見られた
<課題>
- 準備が主要メンバー中心になり、全員参加型にならなかった
- 学生同士の連携不足が、当日の運営の悩みにつながった
<次回に向けた提案>
- 就活が本格化する3年生だけでなく、2年生主体の体制も検討する
- ゴールから逆算して準備スケジュールを組
- 事前シミュレーションを増やし、 「もし〜だったら」という“かもしれない運転”を準備段階から想定する
④当日の運営
<よかったこと>
- 予想外の動きにも臨機応変に対応できた
- 参加者が先に進んでしまった場合も、先回りしてフォローできた
<課題>
- 有料・無料に関わらず、 「お金を払って参加する側からどう見えるか」への意識が甘かった
- 公金や多くの支援によって成り立っているイベントである自覚が不足していた
- 道中や移動時間に、参加者を飽きさせない工夫が十分でなかった
<次回に向けた提案>
- 費用を「数字」で把握し、責任感を持つ
- 道案内やクイズ配置など、移動中も楽しめる導線設計を考える
- 参加者の感情の流れ(カスタマージャーニー)を意識した企画構成を行う
まとめ
2つの振り返りを通して、準備不足や情報共有、役割分担といった表面的な反省点だけでなく、「なぜそうなってしまったのか」「自分たちは何を目的にこのイベントをやっていたのか」といった、より根っこの部分にまで踏み込もうとする姿が見られました。それは、これまでの“用意された体験”ではなかなか生まれにくい、学生主体の取り組みだからこそ現れた変化だったように思います。
一方で、本質的な課題に迫ろうとする場面では、言葉を詰まらせたり、うまく表現できずに立ち止まってしまう学生の姿もありました。責任や当事者意識が伴うからこそ、「正直に言っていいのか」「誰かを否定してしまわないか」と迷い、言葉を探していたのだと思います。その中で、メンター陣からの「言葉を選ばず、まずは話してみよう」という声かけをきっかけに、少しずつ本音が共有されるようになりました。
今回のスタディケーションは、企画や運営を「やって終わり」にせず、次にどう活かすかを考えるための材料を、学生一人ひとりが持ち帰る機会になったのではないでしょうか。
佐久島を盛り上げるための、学生ならではのアイデア
振り返りの後は、グループに分かれて「佐久島を盛り上げるアイデア」を発表。出されたアイデアは20以上にのぼり、内容も多岐にわたりました。


①交流・関係づくりを軸にした体験
人と人が出会い、島での時間そのものが思い出になる企画。
- 恋愛イベント
島をロケーションとしたコンパイベント(例:モンキーパークの「モンパdeコンパ」)、恋愛リアリティーショーのパロディ企画「今日好きになりました。佐久島編」 - 肝試し
夜の島の暗さを逆手に取り、吊り橋効果を活かしたドキドキ感のある体験 - ウェディング・前撮り
前撮りだけでなく、実際に島で挙式ができる仕組みを整える
②自然・身体を動かすアクティビティ
海や風景、島の環境を活かした体験型コンテンツ。
- 海のアクティビティ
カヤック、BBQ、ビーチバレーなどに加え、人気漫画『ハイキュー!!』とのコラボ企画 - ヒーリング・リフレッシュ
夕日や朝のSUP(サップ)で、遮るもののない水平線を眺めながら心を整える体験。島の直線的な道路を活かした朝ランニングも提案 - 専門レジャー(ダイビング)
海の変化をリアルに感じられるなど、「佐久島で行う理由」を明確にした体験
③アート・学び・子ども向け体験
島の文化や素材を活かし、学びと創作を組み合わせた企画。
- 自由研究パッケージ
夏休みに親子をターゲットとし、流木や自然素材、島の伝統的な染め物を使った工作体験
子どもの思い出が口コミにつながり、将来的なリピーターを生むことを狙う - アート展示
子どもや参加者が制作した作品を、観光客に向けて駅やバス停などに展示
④滞在型・季節限定コンテンツ
「来て終わり」ではなく、滞在そのものに価値を持たせる企画。
- 宿泊型コンテンツ
グランピングで星空や夕日を独占する体験。魚釣りから捌き、食べるまでを行う食育プログラム - 冬の魅力創出
閑散期対策として、クリスマスマーケットや浜辺での映画上映などを実施
⑤ PR・広報・継続につなげる仕組み
一過性で終わらせず、島との関わりを広げ続けるための取り組み。
- 外部連携
名城大学の学祭で特産品を販売してみる。他大学の「島に関わる学生」と連携し、活動の幅を広げてみる
交流や関係づくりを軸にした企画、自然を活かしたアクティビティ、アートや学びを組み合わせた体験、季節や滞在を意識したコンテンツ、さらにはPRや継続的な関わりを見据えた仕組みづくりまで、学生ならではのユニークなアイデアが広がったことが印象的でした。
また、単なる観光提案にとどまらず、「誰に」「いつ」「どのように佐久島の魅力を届けるか」を考えた企画が多く、1度イベントを企画する側を経験した視点と発想力が存分に発揮される時間となりました。
まとめ

本スタディケーションの最大の特徴は、学生が島を「体験する側」にとどまらず、佐久島の魅力をどうすれば人に伝えられるのかを考え、形にする“企画する側”として関わったことにあります。受け身の体験では見過ごされがちな島の風景や課題も、企画という視点を持つことで、学生たちは自然と立ち止まり、考え、島と真剣に向き合うようになっていきました。
準備がギリギリまで続くなどの反省点はあったものの、限られた時間の中でイベントとして成立させることができた背景には、学生一人ひとりの高い熱量と、やり切ろうとする力が確かに存在していました。佐久島を舞台にしたからこそ、そのポテンシャルが引き出されたともいえるでしょう。
学生自身の言葉や企画を通じて発信された佐久島の姿は、これまで島を知らなかった人にとって、新たな「知るきっかけ」となり得ます。こうした学生主体のスタディケーションが積み重なっていくことで、島と学生との関係が一過性のものではなく、継続的な関わりへと育っていく可能性も見えてきました。今回の取り組みが、佐久島を知り続けてもらうための一つの入口となり、次の関係へとつながっていくことを期待しています。
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執筆者:YUIKA(一般社団法人日本ワーケーション協会)
プロフィール:フリーインタビュアー。観光・地域・グルメ・文化・芸能など幅広いジャンルのインタビューを年間120本以上行う。現場取材と対話を通して、相手の想いや背景にあるストーリーを引き出し、その人や地域、取り組みの魅力を伝えることを得意とする。
