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STUDYCATION

スタディケーション

投稿日:2026.03.20 更新日:2026.03.25

篠島にて3大学合同の1泊2日スタディケーションを実施しました

スタディケーション篠島

2025年11月15〜16日、愛知県 篠島にて1泊2日のスタディケーションを実施しました。参加者は、名古屋学院大学・愛知工業大学・常葉大学から6名の学生の方々と、常葉大学の安齋眞行准教授です。

篠島サンサンビーチから朝日を望む学生たち

今回のスタディケーションは、篠島の魅力を知ることはもちろん、地場産業の水産関係者から現状の経営課題を伺い、学生目線での新しい可能性を見つけ、次につなげることを目的としています。

普段の授業では得ることのできない、離島で生きる方々のリアルな生活や課題について向き合う“越境学習”の機会は、学生にとって貴重な経験です。

この2日間の中で、学生が何を見て・知って・考えるのか。

今回のスタディケーションの日程は以下の通りです。

【1日目】
10:51 集合(名鉄河和駅)
11:05 河和港から篠島へ移動
11:45 昼食・チェックイン
13:00 ヤマシン商店さんと意見交換
15:00 島内散策(ヤマシン商店工場見学・神明神社・八王子社等)
17:00 宿泊施設チェックイン
18:00 夕食・おとめさん意見交換
19:45 入浴
20:45 ウミホタルふれあい発光観察会
21:30 1日の振り返り

【2日目】
6:00 島内散策(篠島南部エリア)
7:00 ビーチクリーン
8:00 朝食・チェックアウト
9:00 篠島漁業協同組合にて意見交換
10:00 ヤマシン商店見学
10:30 漁港見学
12:00 昼食・意見交換会
14:00 2日間の振り返り・チェックアウト

人と人とが出会うことで「共鳴(レゾナンス)」が生まれ、篠島が変わる・新しい何かが生まれる数々の瞬間に立ち会うことができました。

学生が直面する離島のリアル

集合場所である河和駅から河和港までは徒歩で5分、さらに河和港から篠島までは船で30分ほどです。

篠島に到着してすぐに向かったのは、港のすぐ隣にある篠島DIEUX TERRACE。島の海産物を使った料理や、世界大会で賞を取ったことのある店主の焼くお肉料理は格別です。

そこではヤマシン商店の天野さんが出迎えてくれました。

チェックインをした後、早速スタディケーションがスタート。まずはヤマシン商店の天野さんのお話を伺いながら、地域の中小事業者の経営課題について考える時間を取りました。学生たちが事前に用意した質問をする中で、水産卸業者としての事業の概要や篠島における漁業の重要性、今後の経営課題について知ります。

島の水産卸業者のヤマシン商店の天野代表(写真右)との意見交換

家族で事業を経営する大変さ、さらに今後の篠島の活性化には島全体で団結することが大切という話を受け、学生たちは話に引き込まれつつも自分たちの目線で何ができるかを真剣に考えることができました。

ふとしたアイデアがこれからの未来につながる

伊勢神宮御遷宮の折りに下賜される御古材を使い「造営」「遷宮」された神明神社を見学

ヤマシン商店さんのお話の後は、島内を散策しつつホテルに向かいます。

島内散策もスタディケーションの醍醐味のひとつ。その中でも、島のアイデンティティのひとつである伊勢神宮との関係性や課題を学ぶ過程で、学生ならではのアイデアが生まれた瞬間がありました。

篠島は古くから伊勢神宮と深い関わりがあります。島にある神明神社と八王子社はその象徴ともいわれ、建物の建材は伊勢の式年遷宮で利用されたものが使われています。正月には島全体で神事が行われており、島の基盤にもなっている文化です。しかし現在直面する課題は、長い歴史のある神社を維持するための資金の確保。島の文化を守りたい想いと、現状の課題を考えている時に、学生からとあるアイデアが生まれました。

「神社に使われている建材の破片を、お守りにしたらどうだろう?」

ふとしたアイデアですが、学生の目線が島のこれからにつながるきっかけを生んだ瞬間です。今後の資金の課題解決の際に、このアイデアが採用されるかもしれません。

20年前に伊勢神宮から下賜された御古材で「造営」された神明神社のお社は八王子社へ新たに移されます。

八王子社を見学する様子

篠島と伊勢神宮との関わりや、関連する祭事について気になる方は、こちらのnote記事をご覧ください。

参考:あいちの離島運営事務局note記事 篠島のおすすめ vol.2

大人と学生のリアル会議

散策を経て、ホテルにチェックイン。今回の宿泊先は、篠島観光ホテル大角です。美しい篠島ビーチを一望できる場所に位置しており、ホテルの部屋から見る夕日と朝日は格別。潮の音を聴きながらゆったりした時間を過ごすことができます。

夕食は炭焼き納屋 ゆうせんにて。篠島のお魚を使ったたくさんの料理をいただき、島の特産物を知る素敵な時間でした。

夕食会場の炭焼き納屋 ゆうせんにて令和7年度から車海老の陸上養殖に挑戦している板谷さんを囲んで意見交換

夕食後には、おとめの代表である板谷美晴さんとの意見交換会があり、大人と学生のリアル会議が始まります。おとめの事業は、陸上車海老の養殖です。始めたての事業ということもあり、直近の課題は販売戦略。板谷さんの「篠島で売りたい」という想いと、島外での販売経路の確保、そして商品展開について、リアルなお話を伺いました。

ここでも学生からのアイデアが。それは「伊勢との関わりを強めたブランディング」です。学生が、篠島でのさまざまな話を聞く中で、点と点をつなげて線にしている様子を目の当たりにしました。

まだまだ深掘りする要素があるとのことで、宿泊場所である篠島料理民宿「湧泉」に戻った後も、学生たちは情報を整理するためのブレインストーミングの時間を取り、スタディケーション後も課題として取り組むことに決めました。

島を動かすのは、若い世代の純粋な想い

辻満剛さんによるウミホタル鑑賞会

夕食・入浴後は、篠島の若い世代のパワーを感じる時間を過ごしました。

島の散策をしていて気付いたのは、篠島のビーチの美しさ。このビーチの美しさは、大人ではなく子どもたちが作り上げたものなのです。

とある出来事をきっかけに、島の子どもたちがビーチクリーンを始めた話、そのおかげで海が美しくなり“キレイな海の使者”と呼ばれる「ウミホタル」が現れたこと。子どもの純粋な想いが環境を変えたというお話を伺い、私たちの今回の活動も、これからの未来を変えるきっかけになると強く感じることができました。

篠島サンサンビーチでの早朝ビーチクリーン

2日目の朝には、島内散策をした後に、学生全員でビーチクリーンを実施しました。キレイなビーチでもゴミは集まり、ウミホタルの住みやすい環境づくりに貢献できました。ウミガメ隊に任命された彼らは、これからの篠島を守る存在となるかもしれません。

参考:ウミホタルふれあい発光観察に興味がある方は、こちらから参加できます。

漁業の世界を覗く

魚市場で水揚げされたしらすの「せり」の様子

2日目は、篠島漁業協同組合にて意見交換をした後、実際に港にて「せり」の現場を見学しました。

篠島漁業協同組合では、鈴木参事から組合としての大変さや今後の課題を伺い、ヤマシン商店の天野さんからはせりの流れや見分け方などを学びます。「漁業」と一括りにしたとしても、魚を獲る人・買う人・ルールを作る人などさまざまです。漁業で生きる方々の暮らしや仕事を知ることができました。

スタディケーションによって広がった篠島の関係人口

最後に参加者全員との集合写真

2日間を通してのチェックアウトでは、学生それぞれの正直な意見や想いを出し合う時間になりました。

彼らが今回のスタディケーションで学んだことは、ここで終わりではありません。大学に戻った後もひとつの研究テーマとして向き合うことで、篠島について考える人口が広がりました。

今回のスタディケーションを通して広がった関係人口は、これからの篠島を支える要素のひとつです。学生にとっては篠島という新しい居場所を作り、その場所について考える貴重な機会になり、篠島の方々にとっては、未来の人材を知り・受け入れる土台を作る機会になりました。つながった一つの点は、波紋のように広がりこれからの篠島の発展に貢献していくでしょう。

今回のスタディケーションで生まれた関係やアイデアが、今後どのような形で花開いていくのか、今から楽しみです。

今回ご協力・ご支援いただいた皆様、本当にありがとうございます。

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執筆者:青木 千奈(一般社団法人日本ワーケーション協会)

プロフィール:ライター・ライフデザインコーチ/株式会社Koti代表取締役。1996年愛媛県生まれ。大学卒業後、機械メーカーの海外営業を経験。パソコンひとつで旅しながら生きる暮らしを目指し、Webライターとして独立。SEO・取材記事の執筆やディレクター、ライター講師やライフデザインコーチとして活動。自己対話(セルフコーチング)を通して自分軸を育てるコーチングプログラムを提供。パートナーと週末車中泊しながら旅と仕事を両立する暮らしを発信しており、年100日海外ノマド。2024年7月に株式会社Kotiを創業。渡航数は27カ国100都市以上。