STUDYCATION
あいちの離島で
スタディケーション
投稿日:2026.03.27 更新日:2026.03.28
佐久島にて人間環境大学の学生たちが1泊2日のスタディケーションを実施しました!
スタディケーション佐久島

※高速船にて佐久島に到着
2025年9月27日(土)から28日(日)にかけて、佐久島にて、人間環境大学の藤井先生と谷地先生、そして学生17名が参加するスタディケーションモニターツアーを、1泊2日の日程で実施しました。
実は今回でこの取り組みは3年目で3回目です。
1年目は、冬になると佐久島が閑散期に入り、観光客が減ってしまうという課題に対して、学生たちから「佐久島でトレイルランニングをやってみてはどうか」というアイデアが出ました。
2年目には、そのアイデアが実際の企画にまで進み、佐久島でフィールドワークを行いながら準備を重ね、実際にトレイルランニングイベントを開催。結果として、100名以上の方に参加いただくことができました。
そして3年目となる今回は、2年目に実際に運営してみたからこそ見えてきた課題や反省をふまえ、あらためて「第2回をどうよりよい形で実施するか」を考えるためのスタディケーションとなりました。
新しく参加した学生も加わり、これまでの流れを受け継ぎながら、より実践的に運営を深めていく時間になりました。

※今回のスタディケーションの目的などチェックイン
今回のスタディケーションは、1泊2日で佐久島を訪れるところから始まりました。
初めて参加する学生もいたため、まずは島そのものを知るためのフィールドワークを行いました。

※佐久島を堪能しながらフィールドワークを行う
佐久島の中を歩いてみると、海の景色、山側の道、集落の雰囲気、アート作品の点在、そして人の暮らしの気配など、観光地としてだけではない島の魅力が見えてきます。
トレイルランニングというイベントを考える上でも、単に「走るコース」として見るのではなく、「この島のどんな景色や時間を体験してもらうか」という視点がとても大事になります。
学生たちは、実際に歩きながら、「どこが魅力として伝わるか」「どこに安全面の配慮が必要か」「どんな人にこのイベントが合いそうか」といったことを考えていたようでした。
机の上では見えないことが、現地に来ることで一気に具体的になる。スタディケーションの良さが出る時間だったと思います。

※フィールドワークを終え企画を考える学生たち
今回、特に大きかったのは、前回の開催時からコース条件が変わっていたことです。
1回目のトレイルランニングで使った山側のコースの一部が工事中だったため、今回は島の周囲にある舗装路もコースとして組み込む必要がありました。
その結果、山側だけではなく、海側の道も走るコースへと変化しました。
この変更に対して、学生たちは最初、少し懸念を持っていました。
というのも、昨年のトレイルランニングに参加した方々の中には、「本格的なトレイルランニングとして考えると、少し物足りなさがある」といった感想も一部あったからです。
そうした声をふまえると、舗装路が増えることで、さらに“トレイル感”が薄れてしまうのではないか、という不安があったのだと思います。
ただ、実際に海沿いの道を歩き、走るイメージを重ねていく中で、学生たちの見方は少しずつ変わっていきました。
海岸沿いを走ることで、佐久島らしい景色をより楽しめるのではないか。
山道だけではないからこそ、トレイルラン経験者だけでなく、島で走ること自体を楽しみたい人にも参加してもらいやすいのではないか。
そんな気づきが出てきたのです。

※今回新たなコースになった海岸沿い
今回のイベントでは、参加者の属性も大きく二つあると整理されていました。
ひとつは、本格的にトレイルランニングを楽しみたい人。
もうひとつは、佐久島という場所で走ること、島の景色や空気を楽しむことに魅力を感じるエントリー層の人たちです。
そのため、運営方法も前回同様に、前半スタート組と後半スタート組に分ける形で検討・実施しました。
前半スタート組は、よりしっかり走りたい方向け。
後半スタート組は、景色や佐久島らしさも味わいながら楽しみたい方向け。
参加者の目的や満足ポイントが違うことを前提に、運営を分けて考えることで、より満足度の高いイベントにしていこうという工夫です。
これはとても大事な視点だと感じました。
「誰にとって良いイベントか」を一つに決めるのではなく、参加する人の違いに合わせて運営を考えること。
地域で開催するイベントだからこそ、こうした柔らかい設計が重要なのだと思います。

※意見を出し学生全員でフィードバック
また、運営面についても、前回の実績をふまえながらブラッシュアップが進められました。
昨年度作成した運営マニュアルをベースにしつつ、安全性の確認、給水ポイントの位置、参加者への案内方法など、細かい部分まで見直しが行われました。
特に議論になったのは、参加者満足度をどう高めるかという点です。
その中で話題になったのが、ご当地エイドでした。
給水所で、佐久島らしい食べ物や地域の魅力を感じられるものを出せないか。
ただ走るだけではなく、「佐久島に来たからこそ味わえる体験」をどうつくるか。
学生たちは、運営の合理性だけではなく、イベントとしての楽しさや地域性も含めて考えていました。
安全と楽しさ、両方をどう両立するか。
このバランスを考えることも、大学の授業の中だけではなかなか得られない学びだったのではないかと思います。

※真剣に企画を考える様子

※スタディケーション終盤の振り返りの意見交換の様子
そして、今回の取り組みは、1泊2日のスタディケーションで終わりではありませんでした。
現地でのフィールドワークを終えた後も、事務局や西尾市のみなさんと一緒に、約3週間に1回のオンラインミーティングを重ねながら、実際の開催に向けた準備を進めていきました。
この継続的なオンラインミーティングも、今回の大きなポイントだったと思います。
現地で見て、感じて、考えたことを、時間を置きながらもう一度整理し、実際の運営計画に落とし込んでいく。
イベントというのは、当日の運営だけでできるものではなく、その前段の地道な準備こそが大切です。
学生たちは、そうしたプロセスも含めて経験していきました。
前回、特に苦労したというボランティアを含めた事務局側の人員配置についても、今回は事前にコースや運営導線の中に落とし込みながら準備を進めることができました。
どこに誰を配置するのか、どのタイミングでどう動くのかを細かく考えることは、イベントの安全性や安心感に直結します。
そうした裏側の運営設計まで含めて、学生たちが関わったことに、大きな意味があったと思います。
さらに今回は、広報面でも前回の反省を生かした動きがありました。
実際に現地に足を運び、佐久島らしい風景の写真を撮ったり、動画を撮影したりしながら、SNSも活用して集客を行いました。
イベントの魅力を伝えるためには、内容だけでなく、その場の空気感や景色が伝わることも大事です。
海、山、島の道、そして走る楽しさ。
そうした佐久島ならではの魅力を、言葉だけではなくビジュアルでも届けていく。
こうした広報の工夫も、イベントの運営を考えるうえでは欠かせない要素です。
企画、運営、広報までを一連の流れとして経験できたことは、学生たちにとってかなり実践的な学びになったのではないでしょうか。

※今年のスタディケーションではトレイルランニングの企画だけでなく島の竹林伐採も経験しました
そして、準備を重ねたうえで、2026年2月22日(日)に実際に「海と風、ちょっぴり波しぶきエコランニング(第2回佐久島トレイルラン+エコ)」を開催しました。
学生たちは、前回の反省もふまえ、今回は前日に佐久島へ入り、前泊をして当日の運営準備にあたりました。
細かな確認を前日に行えたことで、当日の動きもより落ち着いて対応できたようです。
当日は、安全面でも大きな問題なく、無事にイベントを実施することができました。
これは決して当たり前のことではなく、現地でのスタディケーション、オンラインでの打ち合わせ、マニュアルの改善、人員配置の検討、広報の工夫など、積み重ねてきた準備がしっかり形になった結果だと思います。
実際にイベントをやりきるという経験は、アイデアを出すこととはまた違う重みがあります。
現場で起こることに対応しながら、参加者に楽しんでもらい、安全に終えること。
そこまで含めてやりきれたことは、学生たちにとって大きな達成感につながったはずです。

※当日のコース案内の準備の様子

※ご当地エイドの準備の様子

※佐久島の海と風を感じながら走るランナーたち

※島の里山も走りながら楽しめます
イベント終了後も、学生たちの意識はそこで終わりではありませんでした。
今回の反省も生かしながら、このトレイルランニングを今後も佐久島の定期的なイベントとして育てていきたい、自分たちも今後関わっていきたい、という声が出てきました。
単発の授業や体験で終わるのではなく、自分たちが関わった企画に継続して責任や愛着を持とうとしていることは、とても印象的でした。
地域と大学が関わる取り組みの面白さは、まさにこうしたところにあるのだと思います。
“学ばせてもらう”だけではなく、“一緒につくっていく”関係へと少しずつ変わっていく。
その入口が、今回のような積み重ねの中にあるのだと感じました。
一方で、今後に向けた課題も見えてきました。
そのひとつが、開催に向けて住民のみなさんとの連携をもっと深めていきたい、という点です。
イベントとして継続し、さらに地域に根づいていくためには、学生や事務局だけで進めるのではなく、島の住民の方々とどのようにつながり、どのように一緒につくっていくかが重要になります。
この課題が見えたこと自体も、今回の大きな成果だったように思います。
実際にやってみたからこそ、次に必要なことが見えてくる。
そうした意味でも、今回の第2回開催は、単なる“実施”ではなく、次につながる“検証”でもあったのだと思います。

※終了後の振り返り会の様子
また、人間環境大学の先生からも、嬉しい言葉をいただきました。
学生たちが大学で学ぶ専門分野とは少し異なるテーマであっても、産学連携の中で、こうして企画から運営まで関わる経験は、大学外での学びとして大きな意味がある。
そして、その経験は今後の学生生活だけでなく、就職後や社会人になってからも生きてくるはずだ、というお話でした。
本当にその通りだと思います。
地域で何かを企画し、人と調整し、準備をして、現場で運営し、振り返りをする。
こうした経験は、特定の専門知識だけでは身につかない力を育ててくれます。
今回の佐久島での取り組みは、トレイルランニングというイベントを通じて、学生たちにとっても、地域にとっても、次につながる実践の場になったのではないでしょうか。
1年目に生まれたアイデアが、2年目に形になり、3年目には改善と継続のフェーズへ進んでいく。
こうして少しずつ育ってきた佐久島のトレイルランニングは、これからさらに地域に根づくイベントへと育っていく可能性を感じさせてくれます。
今後も、学生たちと地域、そして関係者のみなさんが一緒になって、この取り組みをどう育てていくのか。
その次の展開も、とても楽しみです。

