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STUDYCATION

スタディケーション

投稿日:2026.03.27 更新日:2026.03.28

篠島にて日本赤十字豊田看護大学の学生が1泊2日のスタディケーションを実施しました!

スタディケーション篠島

2026年3月2日(月)から3日(火)にかけて、篠島にて、日本赤十字豊田看護大学看護学部の学生5名が参加するスタディケーションモニターツアーを、1泊2日の日程で実施しました。

日本赤十字豊田看護大学は、昨年度の篠島でのスタディケーションに続き2年目となります。昨年は、「離島医療の現状と地域包括ケア」について学びました。今年は、改めて学部内にて「篠島の地域課題に対して活動を行いたい」学生グループを募集していただきました。何グループかの募集の中から「島民向けの防災ワークショップ」をテーマとする学生グループが選ばれ、篠島観光協会との事前オンラインMTGを重ねてワークショップの企画を進めていきました。

※事前オンラインMTGの様子

高速船で篠島に渡り、防災ワークショップの会場である篠島開発総合センターにて、最終確認や会場設営を行いました。

※会場で最終MTGを行う様子

会場にぞくぞくと島民が集まり学生たちも少し緊張しているようです。

※防災ワークショップの開始

定刻になりいよいよワークショップが始まりました。オープニングは学生から防災についてのレクチャーを行いました。

※島民に看護学の観点からの災害リスクについて説明をする様子

※レクチャー後は2グループに分かれて島民と島の防災について考える座談会が行われました。

※別グループでは簡易トイレの使い方講座を行っています。

グループを入れ替えてワークショップを行ったあとは、避難所運営ゲーム(HUG)を使い実際に災害が起こった際の避難所の運営を学ぶゲームを行いました。これは、昨年の参加学生からのヒアリングや篠島観光協会との事前打ち合わせで、篠島では災害が起こった際に孤立する時間がある程度あり、初期対応として全て島民が自分たちで避難や避難後の避難所運営を行わなければいけない現状を知り、篠島の実情に基づいた篠島バージョンを学生たちが作成しました。

参考:避難所運営ゲーム(HUG)とは

避難所運営ゲーム(HUG)は、災害時の避難所で起こるさまざまな出来事に対応しながら、受け入れ、配置、ルールづくりなどの運営を疑似体験的に学ぶ防災訓練です。

※避難所運営ゲーム(HUG)の進め方を説明する学生

※地震が起こり篠島小学校が避難所になった想定でゲームを進めていきます。

避難所運営ゲーム(HUG)は、災害発生後の避難所で起こるさまざまな出来事に、参加者が運営側の立場で対応していく図上訓練型のゲームです。

参加者は、篠島小学校と篠島中学校の平面図を囲み、次々に提示される「避難者カード」や「出来事カード」をもとに、どのように人を受け入れ、どこに配置し、どんなルールや配慮が必要かを話し合いながら進めました。

たとえば、高齢者、乳幼児連れ、体調不良者、ペット同行者など条件の異なる避難者をどう受け入れるか、トイレや通路、物資置き場をどう確保するか、発熱者対応や情報共有をどう行うかなど、現実の避難所運営で起こり得る課題が次々に出されます。

正解を当てるゲームではなく、限られた空間・人手・物資の中で優先順位を考え、参加者同士で判断し続けることに意味があります。そのためHUGは、避難所運営の難しさを疑似体験しながら、災害時に必要な視点や備え、地域で支え合うための課題を具体的に考えることができる実践的な学びの場となりました。

終了後参加者からは、「篠島で災害があったら自分たちで対処しなければいけない、ただ強みもあり島民の顔が見えるコミュニケーションが日頃からあるので、今回のゲームも島民の顔を浮かべながら行えました。簡易トイレの使い方も初めて学べたので勉強になりました。学生のみなさんありがとう。」といった感想がありました。

今回は、知多南部消防組合消防署から石垣消防署長含めた3名、南知多町総務部防災交通課から戸田副主幹も参加いただきました。篠島は物理的に本土から離れているので、島民の日頃の防災意識がとても重要との感想もいただき、島民だけでなく学生にとっても、地域ごとの現状を知る学びの多いワークショップとなりました。

※石垣消防署長(知多南部消防組合消防署)からも感想を伺いました。

まとめ

今回、学生たちがまず強く感じていたのは、「離島」に対する印象の変化です。来る前は、「不便そう」「災害時に孤立しそう」といったイメージを持っていた学生も少なくありませんでした。しかし実際に篠島を訪れてみると、その印象は大きく変わりました。

島には多世代のつながりがあり、地域のコミュニティがしっかりと息づいていました。高齢者の方々も自然に声をかけ、こちらが尋ねると丁寧に話してくださる。そうした人と人との距離の近さは、都市部ではなかなか得られない篠島の大きな魅力として映ったようです。

また、伊勢神宮との歴史的なつながりや伝統行事、自然や魚といった地域資源を大切にする姿勢にも、学生たちは深く印象を受けていました。単に「自然が豊かな島」というだけではなく、文化や暮らしが今も地続きで残っている場所としての篠島の価値を感じたようです。「もっと多くの人に知ってほしい」「3島で一緒に盛り上げられたらよい」といった声もあり、学びを超えて、地域への関心そのものが高まっていることがうかがえました。

※伊勢神宮から御古材を下賜され遷宮される神明神社を見学

※実際に災害が起こった時の避難所運営について真剣に話し合っています

避難所運営ゲーム(HUG)のワークショップでは、島民の皆さまから積極的に意見が出され、避難所生活を具体的にイメージした議論が次々と生まれました。特に印象的だったのは、トイレや衛生面への意識の違いが男女間で大きく表れたことです。女性は生活面や衛生面について細やかに考える一方で、男性からはまた別の優先事項が語られました。こうした違いは、避難所運営を考える上で、さまざまな立場の視点を取り入れることの大切さを改めて示してくれました。

学生たちからは、ワークショップの改善点も多く挙げられました。たとえば、防災バッグの説明は会場の盛り上がりもあって声が届きにくく、十分に伝えきれなかったという反省がありました。一方で、それだけ島民同士の会話が活発で、関心を持って参加してくださっていたとも言えます。また、HUGの場では多くの意見が飛び交ったからこそ、グループごとにリーダー役を決めておくことや、男女混合のチーム編成にすることなど、より実践的な工夫の必要性も見えてきました。

島民の声からは、「トイレの重要性」や「災害関連死」といったテーマへの関心が高かったこともうかがえました。今回のワークショップは、単に防災知識を伝えるだけでなく、島民の皆さまにとっても「自分たちの避難所」を具体的に考えるきっかけになったのではないかと思います。

今後に向けては、今回の学びを一過性のものにせず、「篠島×看護」というかたちで持続的な取り組みに育てていくことが重要です。学生からは、次のステップとして、実際の防災訓練を島民と一緒に行うこと、救護所設営のレクチャーを実施すること、炊き出しなどを組み合わせた実践的な機会をつくることなどの案が出ました。また、大学祭への島側の参加や、ウミホタルの出前授業などを通じて、篠島と学生が継続的につながる接点づくりの可能性も見えてきました。

※ウミホタルふれあい発光観察会

今回のスタディケーションは、防災を学ぶ場であると同時に、篠島の暮らしや文化、そして人のあたたかさに触れる機会でもありました。看護の視点から地域と関わることで、都市部とは異なる防災のあり方や、地域で支え合うことの意味を具体的に考えることができました。そして何より、学生たちにとって篠島が「課題のある場所」ではなく、「魅力と可能性のある場所」として立ち上がってきたこと自体が、大きな成果だったように思います。

※サンサンビーチにて