WORKCATION
あいちの離島で
ワーケーション
投稿日:2026.03.27 更新日:2026.03.30
あいちの離島ワーケーションツアー 日間賀島×篠島
ワーケーション日間賀島篠島

― 観光客ではなく、島の仲間として関わる2日間 ―
0. はじめに
2026年2月15日(日)〜16日(月)、愛知県の離島・日間賀島と篠島で、1泊2日のワーケーションツアーが開催されました。
集まったのは、関西・関東・愛知・福岡から駆けつけた大人12名と子ども2名。起業家、インフラ系、デジタル、法務、システム……それぞれに異なる専門性と問いを抱えた、多様なプロたちです。

島との関わりを深め、それぞれの専門性を持ち寄りながら、共創のきっかけを探していく2日間。前回のツアーから引き続き、愛知県の離島事業として積み重ねてきた縁が、また新しい可能性が、動き出そうとしていました。
新しい出会い、新しい発見、そして新しい何かが生まれる予感を胸に、島へと向かいます。
1. 日間賀島上陸
名鉄で河和駅に集合し、みんなで歩いて河和港へ。今回は大人12名と子ども2名、賑やかな一行です。
この日の天候は曇り。しかし風が比較的落ち着いていて暖かく感じます。船の上でも気持ちよく過ごせる、なかなか体験できない真冬の2月の船旅です。天候には毎回恵まれている気がします。子どもたちも楽しそうに船上の旅を楽しんでいて、初めましてのアイスブレイクも和やかに行われていました。

日間賀島の東港へ到着した一行は、日間賀島の名店「お食事処 たいかいろう 東店」へ。東港から歩いてすぐのところにあり、島の名物や自慢の海鮮料理が楽しめます。
のれんをくぐると相変わらず盛況。ランチを楽しみつつ、各テーブルで自己紹介をしながらアイスブレイクの続き。

全国各地から集まったメンバー、初対面を忘れるほど話が弾んでいました。
心も体も満たされて、いざ島内調査へ。
2. DAY1:島内調査
まず向かったのはサンライズビーチの方角へ。歩き進めていくと、美しい海辺が広がっていきます。その奥にポツンと佇むのは、日本人なら誰でも思い当たる「ピンクのドア」。

思わずみんなが駆け寄り、その扉を開けてしまいます。観光客にも人気な撮影スポットです。
そこからすぐそこの高台へ。階段を上がると現れたのが、大きな木製のブランコ。あの有名なアニメを思い浮かばせる、空に向かって漕ぎ出したくなるブランコです。

ここも撮影スポットとして人気の場所で、大人も子どももつい試したくなる、心をくすぐられる場所。
日間賀島には、こうした遊び心とつい写真に納めたくなる仕掛けがいたるところにあります。写真をとってSNSにあげたくなる心理をうまくついて、楽しげな情報がひとりでに渡り歩いているようです。
海の景色を楽しみながら歩き進めていると、「島しらす屋丸豊(まるとよ)cafe」に到着。しらす工場直売のおいしいしらすを使ったメニューが有名なお店です。


普段は目にしないようなちょっと変わったしらすメニューが並びます。
島しらすソフトのワッフルパフェ。しらすとソフトクリーム、意外な組み合わせに思えますが、甘い塩っぱいの繰り返しがなんとも癖になります。


島たい焼きも絶品で、とくにおすすめはしらすチーズ。外側パリパリの薄皮の中にはたっぷりのしらすとチーズ、島のりの風味がアクセント。これは1つじゃ足りないくらい癖になる味わいです。
そこから歩いて「丸幸(まるこう)水産 直売所」へ。


ここの直売所はオリジナルのしらす商品が特徴。島ラー油にちりめんナッツ、お土産にぴったりです。島の名物であるしらすは、こうした企業の工夫により新しい商品になり、島を訪れる人たちの手に渡っています。
3. DAY1:夕食&島内意見交換
この日の夕食はこの旅のピークと言って間違いないだろう。島の美味しいところを全て集めたようなご馳走が並べられ、日間賀島の特別な夜に相応しい役者が揃ったようでした。


自食事を楽しみながら、あらためて自己紹介と活動内容を話します。お酒も楽しみつつ、少しずつ心と体が温まってくる。そしてここから、本格的な意見交換がはじまりました。

テーブルを囲んだのは、デジタル、旅行、法務、システム、金融……それぞれに異なる専門性を持つメンバーたち。島の現状と課題が次々と語られるなかで、それぞれの知見が自然と重なり合っていきます。
まず話題に上がったのが、日間賀島発の新しい取り組み「オーシャンピック」です。
ポイント制の競技型ごみ拾いで「観光×環境」を両立させるこの構想は、関係人口づくりの入口として注目されています。4月18日の開催に向けて準備が進んでおり、全国規模のビジネスネットワークからの参加も見込まれています。ビーチクリーンをボランティアで終わらせるのではなく、事業として成立させる。京丹後市の「ビーチクリーンを仕事に」する事例を参照しながら、日間賀島モデルの検討が動き出しています。
島の認知については、名古屋圏でも知らない人がいるほど外部への発信が弱いという現状も語られました。「タコ」や「漁業文化」を核に、身近な離島としての価値を再定義していく必要があります。河和港からわずか10分という圧倒的なアクセスの良さは、もっと前面に出せる強みです。都市部の物価上昇やリモートワークの潮流に合わせて、短中期滞在の関わりしろを提示していくことが、これからの島の可能性を広げていきます。
観光の現状として、夏が最盛期で冬の平日は閑散としているという季節性の課題も挙がりました。

長期滞在の受け皿が不足していて、関係人口やワーケーターが継続的に島と関わり続ける動線がまだ弱い。そこで議論に上がったのが、空き家を活用したシェアハウスやコリビング型の長期滞在拠点づくりです。行政と連携した空き家台帳の整備や、法務・不動産の専門家を交えた仕組みづくりなど、多様な専門性を持つメンバーならではの視点が飛び交いました。
漁業については、水揚げの減少と後継者難が続いており、兼業での継続が現実的な選択肢になっています。一方でタコの養殖試験が進んでいて、味の評価も上々とのこと。海上釣り堀の可能性も議論に上がりました。県内のニーズは大きいにもかかわらず、現状は三重・福井へ流出している。湾内設置の可能性を探ることで、新しい観光コンテンツになるかもしれません。

話は尽きず、時間が経つにつれてテーブルの熱量は上がっていきます。島の課題に対して、それぞれのプロが自分ごととして向き合いはじめた夜でした。
4. DAY2:夜明けのビーチクリーン
日間賀島の朝がはじまり、朝日が昇る前に一同は歩いて海岸へ。少しずつ明るくなっていく空の下、ビーチクリーンがはじまりました。

前夜の意見交換で語られた「オーシャンピック」が、頭をよぎります。本来であれば、ゴミは気づいた人が拾えばいい。ゴミは持ち帰るべきだし、携帯灰皿を持ち歩くべきだという話でもある。ゴミ箱をたくさん設置すれば解決するわけでもなく、美しい景観を守るためのデザインや、そのゴミ箱を誰が管理するのかという問題も出てくる。
でも、オーシャンピックの発想はそこではありません。どうせゴミ拾いをするなら、スポーツとして楽しもう。一人でも多くの人たちがポジティブに島の環境改善に関わってくれればいい。こうして今日も新しい人たちが加わり、その輪が少しずつ広がっていきます。

日間賀島では環境に関する取り組みが定期的に行われており、この日はそれほど目に余るゴミは落ちていませんでした。島の海を美しく守り続けてきた積み重ねがあってこそです。この活動がもっと広く知れ渡っていくためにも、昨夜の意見交換の話がより重要なものになっていく。そんなことを感じながら、朝の海岸を歩きました。
朝日を拝みながら、散歩を続けて安楽寺へ。

日間賀島の安楽寺は「たこ阿弥陀」として知られる、島のパワースポットです。静かな境内で朝のご挨拶と今日のパワーをいただいて、ホテルへ戻ります。美味しい朝食をいただいた後、一同は日間賀島西港へ。次の目的地、篠島へと向かいます。
6. DAY2:篠島でディスカッション
日間賀島西港から船に乗り、篠島へ。

10分ほどの短い船旅を経て、篠島港に到着した一行がまず向かったのは篠島DIEUX TERRACE(デューテラス)。前回のツアーでも集まった、篠島の玄関口とも言えるこの場所で、篠島観光協会の皆さんを交えたディスカッションがはじまりました。
今回のテーマは空き家の活用、体験プログラムの商品化、そして島の関係人口をどう増やしていくか。

空き家については、島内に専業の不動産仲介がほぼ不在という現状が語られました。物件の引き継ぎは「贈与・バトンタッチ」的な性格が強く、外部からの介入は近隣関係に摩擦を生みやすい。だからこそ、信頼ベースでマッチングを担う「コーディネーター」機能が島内に必要だという話になりました。来年度から地域コーディネーター枠を活用したヒアリングと試行、そういった案も出ています。
一方で、観光・体験プログラムの商品化も着実に動き出しています。漁師クルーズや夕日クルーズ、魚の掴み取りから捌いて料理するプログラム、車エビ養殖を使ったエビすくい体験など、島ならではのコンテンツが揃っています。

島でのウェディングなど、観光とセットで新たなサービスも検討されており、今年の営業テーマは「ウェディング」と「子どもが喜ぶ団体」。これまで身内向け中心だった提案を、名古屋の企業向けに本格的に広げていく段階に入っています。
気軽に参加できるプランからプレミアムプランまで柔軟に設計できる体験パッケージは、地元の信用金庫や不動産など地元事業者とも連携しながら、島外への営業を加速させていきます。
過去のツアーでも浮かび上がった空き家問題と関係人口の課題が、今回はより具体的な計画として動き出しているのを感じました。島の課題を丁寧に解きほぐしながら、できることから一歩ずつ前に進めていく。そのプロセスに、外から関わり続ける人たちの存在が、確かな意味を持ちはじめています。
7. DAY2:まとめ
日間賀島と篠島、ふたつの島をわたって過ごした2日間。全国各地から集まったメンバーそれぞれが、島に対してできることを持ち寄り、意見を交わし、少しずつ関係を深めていきました。

島の課題は、一度訪れただけではなかなか見えてこない。でも、こうして何度も足を運び、島の人たちと話を重ねていくうちに、じわじわと輪郭が見えてくるものがあります。空き家の問題も、観光の課題も、漁業の現状も、どれも「誰かがなんとかしてくれる」話ではなく、関わり続ける人たちが少しずつ動かしていくしかない。
でも、だからこそ面白いと思うのです。
オーシャンピックのように、課題をポジティブに変換して、楽しみながら関わる入口をつくる。体験プログラムとして商品化して、島を訪れる人を増やす。空き家を誰かの拠点に変えて、島に根を張る人を増やす。どれも一足飛びにはいかないけれど、確かに動き出しています。

外から島に関わることは、観光客として訪れることとは少し違います。島の課題を自分ごととして受け取り、自分のスキルや知見が何かの役に立てないかを考えながら、また島に戻ってくる。そういう人たちが少しずつ増えていくことが、島の未来をつくっていくのだと、この2日間を通じて改めて感じました。

次に島を訪れるのはいつになるだろう。そんなことを考えながら、篠島を後にしました。
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執筆者:宮田 唯(一般社団法人日本ワーケーション協会)
プロフィール:富山県にて約5年間、まちづくりに従事。横丁というユニークな地域拠点の運営管理をはじめ、国・県・市町村による各種行政事業の企画提案・運営・実施管理、さらには地域イベントや観光・移住促進に関するコンテンツ制作まで、幅広い業務を担う。富山県および県内各市町村が連携する広域ワーケーション推進事業では統括責任者を務め、県内外における多様なワーケーションプロジェクトに実績を持つ。主な監修・制作実績に、富山県公式ワーケーションポータルサイト「めぐるとやま」、富山西部観光連携サイト「富山WEST ワーケーション」など。2024年4月に独立し、現在はフリーランスとして全国の地域プロジェクトに携わる。事業設計からクリエイティブ制作・運用まで一貫して手がける、プロデュースとクリエイティブ双方の実務経験を持つ地域実践者。
