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WORKCATION

ワーケーション

投稿日:2026.03.25 更新日:2026.03.25

離島の産業と暮らしを支える現場に触れる一泊二日【親子ワーケーションレポート】

親子ワーケーション佐久島

愛知県の離島・佐久島で行われた親子ワーケーションに参加してきました。今回、ご一緒したのは有限責任監査法人トーマツさんのご家族の皆さんです。

佐久島は、三河湾のほぼ中央に浮かぶ人口200人弱の離島です。西尾市の一色港から定期船で20分ほどで行くことができます。1996年頃からアートを活かした地域活性化の取り組みが行われており、「アートの島」とも呼ばれています。

朝の新谷海岸

私は、愛知県に来たことはあるのですが、数える程しかなく、離島はもちろん西尾市に来るのも初めてでした。

海風とさざなみに包まれて、佐久島で心を整える時間

名鉄西尾駅

西尾駅から一色港へ。出港までに少し時間があったので、「一色さかな市場」に立ち寄りました。

一色さかな市場

市場内には採れたての新鮮な海産物がずらりと並んでいました。また、西尾名産の抹茶を使ったお菓子やお酒を買えるほか、海の幸を堪能できるレストランも充実しています。

西尾名産の抹茶を使用した商品

市場があるので様々な海産物が販売されている

その後、皆でフェリーに乗り込み、佐久島へ向かいます。フェリーは海風を感じられて気持ち良いです。

一色港から高速船にて佐久島に向かいます

ただ、思いの外、速度が出ます。景色に夢中になるあまり、スマホやカメラを落とさないように注意しましょう!

佐久島に到着後は、皆でランチタイムです。今回は、「ごはん屋 海」にて食事をいただきました。名物の大あさり丼は、あいにく売り切れとのことで、エビフライ定食を注文。

「ごはん屋 海」での昼食

衣はさくさく、中のエビは肉厚でプリプリしていました

その後、皆で島を散策。佐久島には大きな道路がないため、とにかく静かです。普段は、京都市内に住んでいるので、身近に海がある環境ではなく……。さざなみの音を感じながら、ボーっと海を眺める時間はまさに格別です。

佐久島東港周辺の風景

乾燥したヒトデが並んでいました

乾燥ヒトデ…?気になって調べてみたら、どうやら害獣・害虫で重宝する資材だそう

「自然が豊か」だけでは守れない。里山整備から考える島の未来

ツリークライミングの会場

その後、ツリークライミング体験とカクレミノの伐採をしに大山へ。

ここで、西尾市佐久島振興課の三矢様と岡崎市の森林組合の方々から里山とツリークライミングについて説明がありました。ここ一帯は、元々キャンプ場でしたが、人口減少で里山は整備がされなくなってしまい、徐々に荒廃してしまったそう。カクレミノなどの植物が成長して日陰を作り、他の植物の生育を妨げてしまうそうです。

ツリークライミングの説明をする三矢さん(西尾市 交流共創部 佐久島振興課)

素人目からみると、山林はどれも同じようにみえます。しかし、無法図に木が生えていき、災害が起こりやすくなったり、特定の強い植物しか生き残らなかったりと、我々の生活にも悪い影響が出るみたいです。

親子で実施するツリークライミング

ツリークライミング体験。木のてっぺんまで登っている方が多くいました。

私は、ヘルニア持ちのため、ツリークライミング体験は参加せずにカクレミノの伐採に勤しんでいました。よく目を凝らすと無数のカクレミノが存在しており、根深く生えているものは伐採するだけでも一苦労。

佐久島の里山に沢山芽を出しているカクレミノの若木

外見的には、自然が豊かという感想をもてますが、島の美観や生態系を維持しようとすると、里山の整備など取り組まなければいけないことが沢山あるのだなと痛感しました。

ヤブツバキの並木

12月から4月頃にかけて見頃のヤブツバキの並木道を通過し、「弁天サロン」へ。

弁天サロン

こちらは、西港近くにある文化交流施設で、黒壁づくりの古民家を改修して作られました。アート作品の展示や島に関する資料などを見ることができます。

佐久島の集落

佐久島には、強い潮風から守るために壁が黒く塗られた家屋が残っています。この貴重な街並みを維持すべく、現在ボランティアの方々を中心に保全活動が進められています。

2010年に公開された映画『名探偵コナン 天空の難破船』の聖地として知られる「おひるねハウス」も、黒壁をモチーフにしたアート作品です。

佐久島のランドマークになっている「おひるねハウス」

ちょうど、日没のタイミングだったので、撮影しに来ている観光客の姿もちらほら見かけました。アニメが好きな外国人観光客の方が、名探偵コナンの聖地巡りで立ち寄られることもあるんだとか。

宿泊した「民宿さざなみ」

その後、日も落ちてきたので、今回お邪魔する民宿「さざなみ」へ。ビジネスホテルやゲストハウスなどに泊まることが多く、民宿に滞在するのは子供の頃以来かも?

室内の様子

お布団に机、ポットというセットが懐かしいですね。やはり、畳の部屋は安心します。

夕食の様子

夜は、ふぐ鍋にお刺身盛り合わせ、なまこの和え物、エビフライと豪勢な料理。佐久島の自然を五感でたっぷりと感じられた1日でした。

佐久島産のなまこ

鳥の声と風の音に包まれて、心の速度を落とす

新谷海岸で早朝親子ビーチクリーンと散策の様子

次の日は早朝から海岸清掃をしに新谷(にいや)海岸へ。季節は1月。雪は降っていなかったものの、海風でコートを着ていないと寒かったです。

この海岸は、ムール貝やウチムラサキの殻が砕けて混ざり合い、砂浜が薄紫色にみえるのが特徴。

ほんのり紫色を帯びた新谷海岸

新谷(にいや)海岸は、ちょうど知多半島の三河湾の入り口に位置し、時折、他県の缶やペットボトル、食品容器などが漂着するそうです。

ただ、この時は、島民の方がこまめに掃除をしているからか、ほとんどゴミを見つけられなかったです。

新谷海岸から望む朝日

そうこうしていると、日の出の時間に。やはり太陽の神秘さや迫力さは、何度みても息を呑むほどに美しいですね。日没と日の出を両方味わえる。これも、佐久島に宿泊してできる贅沢の一つ。

楽しくゴミ拾いができる佐久島のビンゴカードを掲げて

その後、ぐるりと島を歩いてぶらぶら周遊。まず向かったのは佐久島の東港近くにある「富士山(ふじやま)」。ここには、現在、整備が進められている竹林があります。有志の方々によって、竹炭にしたり、竹あかりにしたりと、伐採した竹を有効活用する取り組みが行われているそう。

里山保全で島内外の方々が整備している竹林

そのあとは、イギリス紅茶と西尾抹茶を楽しめるギャラリーカフェ「喫茶 Nishigawa(ニシガワ)」へ。こちらのお店は、佐久島に移住されたイギリス出身のオリバー・リーさんが開業しました。また、島で調達した木材を使って茶杓、茶筅といった茶道具も製作しています。

オリバーさんのギャラリー

佐久島の竹を使用した抹茶椀

ちなみに、こちらの抹茶碗は竹で作られたそうです!まさに地産地消ですね。

ランチの時間になったので、「Cafe OLEGALE」へ。一軒家を改装したカフェで、店内はカラフルな色合いです。また、トイレにはエレファントカシマシのポスターや歌詞が貼っており、店主のこだわりや趣味を感じられる空間になっています。

「Cafe OLEGALE」の店内

私は、「釜上しらす丼」と「スコーン」を注文。

釜上しらす丼

釜上しらす丼は、ザクザクの海苔と半熟卵が乗っており、これ一つでお腹を満たせます。

同じタイミングで、ワーケーション参加者の杉浦さんが入店。杉浦さんは、西尾市の渡船事業を担当しており、何度も佐久島に来たことがあるそう。ただ、宿泊したのは今回が初めてとのことでした。

「やはり、宿泊で滞在すると、今まで見えてこなかった佐久島の魅力を知ることができる。今回、レンタサイクルで島を巡ったが、とても快適だった。外周を整備すればサイクリストにとっても身近な場所になるのでは」と杉浦さん。

スコーン

佐久島の猫

また、店内には猫ちゃんがいることも。ただ、地域猫なので会えるかどうかは運次第。

フェリーの時間が近づいたので、再び「弁天サロン」へ。参加者のお子さんが一泊二日で感じたことを絵にして、簡単な振り返りを行いました。

散策で拾った物を活用した佐久島想い出マップを親子でつくる様子

わずか1泊2日のワーケーションでしたが、山に海と自然を感じることができました。離島ときくと遠いイメージがありますが、佐久島は名古屋から公共交通機関や車で2時間弱と手軽に行ける距離にあります。

参加者の中には、「愛知に住んでいて佐久島の存在は知っていたが、訪れたことはなかった。この機会に来てみて良かったです」という感想を話している方も。

佐久島は、大きな道路がなく静かで、木が擦れる音、鳥のさえずり、優しいさざ波の音などが鮮明に聞こえます。

多忙な日々を過ごしていると、こういった当たり前の日常や光景をつい忘れがち。ただ、自然と向き合うと、忘れかけていた子供心が蘇ったり、昔、家族で遊んだ思い出が胸に去来したりすることがあります。

それは、些細な心情の変化かもしれませんが、間違いなく自身の気づきや新しいアイデアの閃きにつながるものだと私は感じています。

今回参加いただいた有限責任監査法人トーマツの皆様

・・・

執筆者:俵谷龍佑(一般社団法人日本ワーケーション協会)

プロフィール:ライティングオフィス「FUNNARY」代表。/一般社団法人日本ワーケーション協会 ワーケーション公認コンシェルジュ。東京都出身。2021年に京都府へ移住。一部上場のデジタルマーケティング企業で広告運用業務に従事したのち、2015年に独立。BtoB・BtoC領域で3000本以上の記事を制作。最も得意な領域は採用・地域創生。幅広いビジネスモデルの知見をもとに取材・執筆できるのが強み