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WORKCATION

ワーケーション

投稿日:2026.03.13 更新日:2026.03.13

篠島・企業研修型ワーケーションツアー(1泊2日)レポート

篠島

関西電力「barヤドリギ」企業研修型ワーケーションツアー in 篠島
 ― 島の暮らしに触れ、これからの働き方を考える2日間 ―

1. 概要

2025年10月4日〜5日、愛知県・篠島で関西電力の有志コミュニティ「barヤドリギ」メンバー約20名が、企業研修型ワーケーション(1泊2日)に参加しました。地域課題に自分たちのスキルをどう活かせるかを考えると同時に、都市部では得られない漁業・観光の現場体験を、自社の事業開発や人材育成に繋げることを目指した取り組みです。

2. DAY1:島の暮らしに触れ、課題と向き合う

午前、河和港に集合した参加者約20名は、フェリーで篠島へ向かいました。約30分の船旅を経て、島に到着。篠島DIEUX TERRACE(デューテラス)でランチをしながら、篠島観光協会の新美氏・中村氏から島の成り立ちや漁業の現状について話を聞きました。地元食材を使った料理を楽しみながら、参加者同士の交流も深まります。

午後はフィールドワークへ。干鯛調製所や神明神社、八王子社などを巡り、島の産業と暮らしがどのように結びついているかを体感しました。漁業を支える施設、島民の信仰の場 -歩きながら見えてくるのは、小さな島で営まれる生活のリアルです。

篠島観光ホテル大角にチェックイン後、ワークタイムでは課題解決アイデアのピッチを実施しました。現地での気づきをもとに、具体的な提案が次々と発表されました。

AI活用
 インバウンド向け観光体験の創出として、簡単な観光AIコンシェルジュのサンプルアプリを実際に作成して披露しました。また、漁業のバックオフィス業務の効率化として、今朝獲れた魚の種類と値段がわかるシステムを提案。卸業者を介さない相対取引は実際に存在しますが、やりづらさがあるため、セリに並ばないような魚を優先してシステムでやりとりする仕組みです。さらに、生成AI研修を篠島の漁業関係者向けに実施することで、島の人々が稼げるようになることが真の地域創生につながるのではないかという提案も出ました。実際に、研修開催が決定しています。

不動産・空き家活用
南知多町の空き家バンクに登録されている島内の物件はわずか2件(戸建650万円、空き地100万円)。この物件を活用したビジネスを検討しました。篠島にはアパートがなく、Airbnbの登録もない -つまり、ライバルが存在しない市場です。インバウンド需要向けに民泊として貸し出す案や、半田商工会議所の知多地域創業支援特別融資制度を活用した低金利での物件取得も視野に入れました。ただし、実態調査が重要であり、今後10年先を見越した検討が必要との指摘もありました。また、空き家バンクに登録されていない物件の活用も進んでおり、島の人たちとのワークショップを通じて信頼関係を築くことの重要性が語られました。

夜は島内のカフェ「OHANA」で夕食。食後はウミホタル観察を実施しました。夜の海に光る小さな生き物たちに、参加者からは驚きと感動の声が上がります。その後、ホテルで希望者による懇親会が開かれ、仕事を離れた率直な対話の時間となりました。

3. DAY2:身体を動かし、海を守り、島民と語

2日目の朝は、参加者の一人が講師となり、篠島の海岸でヨガ体験からスタートしました。海を目の前に深呼吸し、軽いストレッチで身体をほぐしていきます。波の音だけが響く静かな時間が、2日間の疲れを癒してくれます。

午前中は篠島の海岸で清掃活動を行いながら、サップ体験へ。海に浮かぶゴミを拾いながら、パドルを漕いで進む -環境保全と島の自然を体感するアクティビティが同時に味わえるプログラムです。ランチは自由時間とし、参加者は思い思いに島内の飲食店で過ごしました。

午後からはデューテラスで島民とのアイデア創造セッションを実施しました。前日のピッチ案をもとに、観光協会の皆さんと意見を交わしながら、ひとりひとりが篠島での体験を通して感じたこと、今後篠島にとって必要なこと、自分たちに何ができるのかを発表し合います。

篠島にとって必要なこと、自分たちに何ができるのかを発表しあいます。

ここには新しいことを生み出すきっかけがたくさんある。会社員として働きながら、本当に自分が挑戦してみたいことをやる。自分たちのスキルを持って、地域と関わり、次の何かを生み出していく。2日間の学びをそれぞれの職場・日常に持ち帰る決意を共有して、プログラムを締めくくりました。

4. まとめ

篠島ワーケーションツアーは、単なる視察ではなく、「地域×企業×個人」の可能性を探る実験の場となりました。島の自然や人との出会いから生まれたアイデアは、これからの企業研修や地域連携の新しいモデルとなるはずです。barヤドリギコミュニティの挑戦が、今後も篠島の新しい風となって吹き続けることを期待します。

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執筆者:宮田 唯(一般社団法人日本ワーケーション協会)
プロフィール:富山県にて約5年間、まちづくりに従事。横丁というユニークな地域拠点の運営管理をはじめ、国・県・市町村による各種行政事業の企画提案・運営・実施管理、さらには地域イベントや観光・移住促進に関するコンテンツ制作まで、幅広い業務を担う。富山県および県内各市町村が連携する広域ワーケーション推進事業では統括責任者を務め、県内外における多様なワーケーションプロジェクトに実績を持つ。主な監修・制作実績に、富山県公式ワーケーションポータルサイト「めぐるとやま」、富山西部観光連携サイト「富山WEST ワーケーション」など。2024年4月に独立し、現在はフリーランスとして全国の地域プロジェクトに携わる。事業設計からクリエイティブ制作・運用まで一貫して手がける、プロデュースとクリエイティブ双方の実務経験を持つ地域実践者。